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仙台発。大人の情報誌「りらく」顔語り

藤島 博行(ふじしまひろゆき)

藤島 博行

藤島 博行 - ふじしま ひろゆき

昭和23年、仙台市生まれ、血液O型。(有)青葉タクシー代表取締役。(社)宮城タクシー協会仙台地区総支部総務委員長。趣 味は釣り、ゴルフ。「トローリングもやったけど、最近は時間がとれなくて」

 「男の顔は年齢とともに責任が付いてくる。内面がにじみ出るような『いい顔』になりたいですねえ。造りは親から もらったモノだから文句はいえません(笑)」。
 第一印象では上背のある逞しいボディーに、銀縁眼鏡の『いかつい』(失礼!)面立ちが乗っかっていたはずだった。 「どちらかというと硬派かなあ。正義感は強い方、納得しないとダメ」とも言っていた。が、ひとたび相好を崩すと、打 って変わってマイルドなジェントルマンに変身してしまう。

 クルマ好きが高じてタクシー会社を始めた創業者の2代目。16歳で軽、18歳で普通、19歳で2種の各ライセンスを取得。 「クルマの趣味は親父ほどではないけど、19歳から運転手もやったし、会社の手伝いは好きでした。後を継ぐのは当たり 前と思ってた」。純粋培養で、しかも仕事の隅々まで体験してこの道に入っただけに、業界への思い入れは人一倍強く、あえ て苦言をも辞さない。「タクシーは斜陽産業。サービスの質を上げ、新しい需要を掘り起こすことも必要。業界全体で底上げ しないと、今のままでは見捨てられてしまいますよ」。
 言動が熱を帯び眼鏡の奥から真剣な眼差しがこっちに向かってくる。「お願いしたいのは、消費者にはタクシーを選んで乗っ てほしいということです」。仙台は流しのタクシーが多く、運転手は『一見さん感覚』になりがち。客側もその場限りのこと と、質の悪いサービスにも甘んじてしまう。これではタクシー側も慢心する。気に入った車や会社を選んで乗ることが、業界 の意識を変え、全体のサービスを向上させることになろう。迎車料金廃止も進んでいることから、携帯電話からでも気軽に呼 んでほしいと熱心に訴える。

 尊敬する人物は故ケネディー大統領。「就任がちょうど私が大学の時。演説を訳す課題をやって、ものすごいカルチャ ーショックを受けたんです。『国民が国に対して何をしてくれるかを問う前に、国民が国に対して何ができるかを問うてほし い』というくだり。ヒーロー性だけでなく心からの向上心があるし、これに同意するアメリカ国民のエネルギーにも感銘しま した」。青春期の大いなる出逢いが、今日の精神ベースになっていることは想像に難くない。

 「『美感遊創』という言葉も好き。この4つを合わせ持ってこそ人間の大きさや広がりが出て くるでしょ。未完成の自分が、いろいろアレンジしてもっと大きくなっていければいいですね」。常に前向 きで柔軟なスタンス。真摯に語るその表情には、じんわりと内面がにじみ出て、まさに『いい顔』なのだった。



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