「駅裏ではなく『駅東』。ここで生まれ育った者としては、強調したいですね(笑)」。仙台駅から徒歩6分の新
寺一丁目、本社ビルの一室で切り出した。「代々百年以上もお世話になっている場所ですから、町づくりや活性化に貢献
しなくてはと…」。温厚な笑顔とソフトな口調がマッチして、辺りの空気が自然に和む。
国際都市を目指しながら本格的なホテルが少なかった仙台。社では隣接地に仙台初の欧米資本ホテルを建設しており、
本誌が発行される頃は、
新たなホテル事業に乗り出しているはずだ。「ホテルは本来、泊まる方のためのもの。宿泊客が快適に滞在できるよう、
様々な工夫を凝らし、安全施策も徹底して標準化しています。さすが世界で3000ケ所以上の実績、と思いました」
という。
さらに従来のフランチャイズ方式ではなく、初めて運営委託方式を採用した。「高品質な対応がホテルの一番
のご馳走と思っています。従ってフロントもレストランも、バスホテルズ&リゾーツから支配人はじめサポートスタッ
フを迎え、指導を受けています」。テイクオフに向けてエネルギー満タン、装備も万全といったところだろうか。身
振りとジョークを交えながらの会話は親しみやすく、つい引き込まれてしまう。変わらない穏和な表情に、気負いは
微塵も伺えない。
座右の銘は『動く勇気』と『動かぬ勇気』。「自分の代になって会社は大きく動きました。ある方には
『動く勇気』を評価されたこともある。でも、私はたまたま機会に恵まれただけ。親父が動かずにじっと時期を
待っていたから巡ってきたんです。『動かぬ勇気』こそ素晴らしいと思います」。
さて、仕事のテリトリーも広ければ、プライベートの活動範囲も広いようだ。「旅はいいですね。発見があるし、
その土地の食べ物との出合いも魅力。カメラを手に花を求めて田沢湖の奥まで日帰りしたり、昔はかなり行きました。
今は4人の子供も離れ、女房と時々出かけるぐらいですけど…」。スポーツ好き、クルマ好き、庭づくり、家族サービ
スとまさに八面六臂。
現在の住まいは泉区だが、「普段はマイカー、飲んだ時は地下鉄通勤。地下鉄の時は泉中央駅まで妻が送迎してくれ、
いわゆるキス&ライドで…(笑)」。意気込むことなく自然体で言ってのけ、やってのけてしまうのは、羨ましい才能
というほかない。「顔はその人の生き方が出るといわれますよね。もっと真剣に生きて行かなくちゃ…もう遅いか」。
(いえいえ、充分いい顔です)。初対面時のいい顔に、時の経過分だけさらに味わいが増した、いい顔の持ち主が締めく
くった。