わずか6坪とはいっても、仙台・一番町という目抜き通りに面した店構えである。「今考えると、すごいことを始めちゃったと…。
怖いもの知らずでしたね」。柔らかい笑顔に茶目っ気が映り、瞳をキラキラ輝かせる。
「ある程度の年齢になったとき、この先自分はどうやって生きていこうかと考えたんです」。
自分自身が好きなことは飲食やファッション関連。一番の楽しみは仕事にしないでとっておき、それならブ
ティックをやってみようということになった。「勤めていた会社や当時の友人、異業種交流などで知り合った
方々の力添えのお陰で、とんとん拍子に進みました」。サラリーマン家庭に育ち商売は全く初めて、まさかこん
な街の真ん中の店舗など考えていなかったという。言葉を選びながらも臆することなく、明快に意思を投げかけ
るスタイルが小気味いい。
店は40〜50代をターゲットとした、明るく気のおけない雰囲気。「気軽に入れ、気持ちよく買い物をしていただ
くことに気を遣っています」。例えば、試着して気に入らなかった時に、お客様の気持ちに負担にならないようフォロ
ーする。「せっかくだから、本当に気に入ったものを選んでくださいね、と…。買わないお客様ほど大事なんです」。
女性なら誰でも経験があろうが、こうしたさりげない心遣いが何より嬉しいはずだ。
オープン以来1年余り、休まずに突っ走ってきた。経験するうちに、商売の怖さが膨らんできたという。
「高い目標とか、使命感のようなものはありません。ただ、やらないでグチグチ言うのが嫌いなタイプだから…。
まだこれからが勉強だけど、やって良かったです」。チャーミングで豪快、ダイナミックで繊細とでもいおうか…。
会話に挟まれる細やかな配慮と、くよくよしない大らかさがほど良くマッチしている。
ほっとできる時間は、午後7時の閉店後の寄り道で『飲んで食べるひととき』。「どうも食べっぷり飲みっ
ぷりがいいらしく、お店の人に気に入られてしまうんです。私の場合、異業種交流のシュの字は酒と書くのかも(笑)」
。あっけらかんとしたところもチャームポイントの一つだ。周囲の人間に恵まれ、グルメやお酒の会に誘われる機会
が多いというのも、こうした独特の感性と心の広さを併せ持つ人柄によるものだろう。
今後の夢はと聞けば、「気負わず生きていけたらなあと…。まずはこの仕事を3年、5年と続けることで精一杯ですね」。
自然体で主張があり、女っぽさもある…。同性からみても多分に魅力的な人物である。